シリーズ3作目にして、ついにゼンの過去が(ちょっとだけ)明らかになります！
これから都に近づいていくにつれて、4作目ではもっと明らかになっていきそうな雰囲気がありますね。ただ、シリーズ5作目いわば最終巻ではどのようなラストを迎えるかは、まだまだ想像がつきません。
さて、本作でも相変わらず戦闘に巻き込まれていくことになるのですが、今回は新たな剣の遣い手が現れます。
ゼンの剣とは違う、ひたすらに弱さをを追求したその剣は、ゼンに新たな境地を見せることになります。(爪を隠すとうよりかはもはや消すレベルです！）
個人的には2作目よりも3作目の方が好きでした！ので、4作目にも期待したいです！
どんな小説家？
森博嗣
『ヴォイド・シェイパ』著者紹介文より
作家、工学博士。1957年12月7日愛知県生まれ。某国立大学工学部助教授のかたわら。1996年に『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。以後、続々と作品を発表し、人気を博している。
いわずと知れた人気作家ですね！多くのミステリー好きを唸らせてきたことは有名ですが、剣を主題においた「ヴォイド・シェイパ」シリーズは意外と知らない人も居るのではないでしょうか？
ぜひ、ミステリー好きのみなさんも「ヴォイド・シェイパ」シリーズから剣豪小説の魅力を知って欲しいと思います！
概要
旅を続けるゼンは私闘を行っている二人を遠くから眺めていた。
しかし、まぜか私闘を手助けした者と間違えられたゼンは城に連行されることとなる。
その後、解放されたゼンだったが、泊っている旅館で思わぬ悲劇が起こり……
旅を続けることで剣の腕が上達していくだけでなく、次第に人とのふれあいによって、冗談も増えるようになったゼン、はじめて山から下りてきた時とは変わった姿を実感できると思います！
また、3作目でも登場する三味線弾きのノギ、彼女とのかけあいは変わらず軽妙で、楽しい気分にしてくれます。
小説の魅力
・大きな物語が動き出す⁉
シリーズ3作目にして、ついにゼンの血縁者が現れ、彼の生い立ちや過去が明らかになっていきそうな気配が漂ってきます。
ちなみに、本書で明らかになるのは、まだまだほんの一部なので、ゼンがどういう経緯でスズカ・カシュウに引き取られることになったのかまでは分かりません。
しかし、ミステリー好きの読者のみなさんでは本書でおおよそどのような経緯があったのかは想像できるのではないでしょうか。
自分も、一つの仮説を立ててみました！しかし、これはあまりに王道的な展開なので、ちょっとした裏切りがあることを期待してもいます。
・剣に必要なのは強さであるか？
ゼンは戦わないことを最良と考えていますし、逃げることにも肯定的です。
しかし、本書ではゼンよりも剣をふるうことも好まない剣客が現れます。
剣をひた隠し、己のひたすらに弱くみせることに特化させた剣の遣い手ですが、驚くべきことに彼の技量は、ゼンを上回るものです。
ゼンは彼と立ち合うことで新たなる学びを得ることになります。
一方で、弱いものが武器を持ってしまうと不安に駆られて不用意に相手を傷つけてしまうという場面も本書では表れます。
人と触れて次第にやわらかく変化していくゼンですが、本当の強さ、武士の価値、など答えの無い難しい問いに向き合う姿には変わらぬものがあります。
まとめ
シリーズ第3作は前作のような強敵の出現や大立ち回りはないものの、確かに成長してくゼンの姿を見ることができます。
人とのかかわり方は変わっていき、剣客としては変わらずに高みを目指し続けます。
ゼンが都に着いたときに彼が見る景色とは、そして物語の結末には何が待っているのでしょうか？シリーズも残り2作。私たちも変わらずに楽しみながらゼンの姿を見守っていきましょう！
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