『しゃばけ』はこれまでありそうでなかった、人間と妖たちが一緒に事件の解決を目指す捕物帳になっています。ストーリーの核となる事件もそうですが、妖たちと一太郎との関係性や本書全体を流れる朗らかで明るい雰囲気は読んでいる人の気持ちを楽しくさせてくれることでしょう!
どんな小説家?
畠中恵(1959-)
代表作に『しゃばけ』シリーズ、『ちょちょら』などがある。
特に、『しゃばけ』シリーズは2020年12月地点で累計890万部を記録するなど、幅広い世代にあって支持されている時代小説です!
概要
ある日、こっそり外出をした大店の若だんな・一太郎は通り魔に襲われてしまう。運よく妖の力を借りることで難を逃れたが、その日以来、次々に薬種問屋を襲った殺人が起こる。その並々ならぬ犯行に一太郎は人ならぬものの存在を感じ取り...
病弱ではあるけれど、頭はきれ、胆力もある一太郎と彼を支える妖たちは薬種殺しの犯人を突き止め、この厄災を止めることはできるのか。
おすすめしたい人
・大衆小説が好きな人
本シリーズは累計890万部を突破するなど、普段では時代小説を読まない人にも多く親しまれている作品です。自分自身、読んでみた感想としても時代小説の色は薄く、ライトなタッチで読みやすく、そして面白い作品だなと感じました。
ですので、普段から本屋大賞作品や人気小説家(伊坂幸太郎氏、恩田陸氏など)の本を読む方たちに向けて本書は間違いなくおすすめできると思います!特に、『夏目友人帳』が好きな人であればつまらないと感じる人は一人も居ないような気がします笑
小説の魅力
・一太郎のキャラクター
実家は大金持ちでその跡取り息子、力の抜けた朗らかな性格、病弱ながらも容姿端麗、普段は心配されているけれど、いざという時には頼りになる姿。
一太郎はまさに王子様といえる存在ですね。人からも妖からも愛される存在である理由が読めばきっと分かるはずです!自分も読んでいて、一太郎のキャラクターがとても好きでした。
本書では、主人公である一太郎と彼をとりまく人や妖たちとの関係性が一番の魅力であるように感じます!
・ユニークな妖たち
本書においての他の小説との相違点は「妖」の存在でしょう。彼らは一太郎を支える存在として、普段より彼に仕えています。階級が低い妖たちは病弱な一太郎の友達のような存在であり、階級の高い妖たちはまた保護者のようです。
妖たちが普段より人間と共生しながら楽しく過ごしている様子は、読んでいる者の気持ちは和やかなものにさせてくれます。
次々と刃傷沙汰が起きる中でも、張りつめるような緊張感がなくある意味のんびりとした気持ちで構えられるのは、彼らの関係性からもたらされるものなのかもしれません。
まとめ
『しゃばけ』はこれまで時代小説を読んだことのない人にもおすすめできる作品です。普段小説に親しんでいる人(特に大衆小説寄りが好みの人)であればきっと楽しめるはずです!是非、これを機に「時代小説って面白いな」と思ってくれる人が居てくれると嬉しいです。
【しゃばけシリーズ】
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