一巻より二巻、二巻より三巻と面白く感じてきたのですが、四巻もまた三巻よりも面白く感じました。
物語としてはまたも波乱の展開ですが、さすがに今回のことは想像できませんでした!
(ここから先はネタバレが含まれています!)
どんな小説家?
高田郁 兵庫県宝塚市生まれ。中央大学法学部卒。1993年、集英社レディスコミック誌『YOU』にて漫画原作者としてデビュー。2008年、小説家としてデビューする。著書に「みをつくし料理帖」シリーズ、『出世花』などがある。
『あきない世傳 金と銀(一)』著者紹介より
大ヒットシリーズ「みをつくし料理帖」の作者として有名ですね!
概要
五代目店主の惣次を迎え発展を遂げた五鈴屋だったが、惣次の非情な商いに反発の声が上がる。取引先にて、幸と比較され面目を潰された惣次は五鈴屋から姿を消す。
商才に優れる店主を失った五鈴屋はどこへ向かうのか?
小説の魅力
五鈴屋、三度の門出
本作のハイライトは何といっても、惣次との離縁、智蔵との婚約でしょう。
三巻の最後は確かに不穏な終わりでしたが、商売を愛し愛された惣次が五鈴屋からいなくなることはとても信じられないことでした。
続いて、まさか智蔵と幸が婚約することになるとは……
幸と智蔵の勇気
さて、一人の女性が三兄弟全員に嫁ぐことは周りから見れば、当然気持ちのいいことではなく、現代的な倫理観に則れば敬遠する人も多いでしょう。
ここまでの物語を読み、幸の思いや五鈴屋のことを深く知っている読者の自分でさえ、正直驚きましたしね。現場に居れば白い眼を向けてしまったかもしれません……
それでも全てを承知で覚悟を決めた、幸と智蔵、五鈴屋にはより固い結束で結ばれたはずです。
発展の秘密は?
惣次という大黒柱を失ったにもかかわらず、五鈴屋はより大きな発展を遂げました。
もちろん幸の才覚による部分が一番大きいのですが、自分を操り人形と言い切り、役割を徹する智蔵もまた非常に優秀な店主といえるでしょう。
いくら能力がない人間でも自我はあるので、並大抵の人間であれば幸の才能に嫉妬し、商売から遠ざけようとしてしまうものです。
そんな中で自我を抑え、優秀な幸の意見を尊重し舵取りを任せられる智蔵は”戦国大名”を目指す幸にとってはこれ以上ないパートナーになっていくのではないでしょうか。
ここから先、惣次の逆襲とか、智蔵が変わってしまわないかなど、心配ごとはたくさんありますが、それを踏まえて次巻以降も楽しみにしたいと思います。
まとめ
あきない世傳はおそらく幸が日本一の呉服屋を作るまでの壮大な物語ではないかな、と最近は思います。これから先、江戸、全国へと商いを広げていくのでしょう。
一筋縄ではいかないからこそ、物語の続きが楽しみになりますね。
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