時代劇の定番中の定番、時代小説の王道の王道。
今回紹介する『鬼平犯科帳』は時代小説を読む人であれば、真っ先に知る作品です!
20・30代であれば知っている人は皆無でしょうが、その一つ上の世代ともなれば、知らぬ人のほうが少ないのではないでしょうか。
というのも『鬼平犯科帳』は、テレビドラマ・小説が娯楽の中心だった時代の大人気作品だったのです。
今回は、池波正太郎の代表作『鬼平犯科帳』の魅力について語っていきたいと思います。
現在、BSフジでテレビドラマの再放送もやっているので、興味もってくれた人はそちらもどうぞ!
どんな小説家?
池波正太郎(1923-1990) 東京・浅草生れ。下谷・西町小学校を卒業後、茅場町の株式仲買店に勤める。戦後、東京都の職員となり、下谷区役所等に勤務。長谷川伸の門下に入り、新国劇の脚本・演出を担当。1960年(昭和35年)、「錯乱」で直木賞受賞。「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の3大シリーズをはじめとする膨大な作品群が絶大な人気を博しているなか、急性白血病で永眠。
『剣客商売』著者紹介文より
『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズが著名な小説家。
司馬遼太郎、藤沢周平とともに「一平二太郎」と称され、高い人気を誇る。
特に、テレビドラマでの人気が博く、著者は知らずとも『必殺仕事人』という言葉をどこかで聞いたことがあるという人も一定数いるのではないでしょうか。
さて、続いては時代小説のど真ん中を突き抜ける『鬼平犯科帳』の内容に迫っていきます!
概要
「火付盗賊改方」、江戸の町を警察する組織の力は凄まじく、盗賊を生業とするものであればかの組織は誰もが恐れるものだった。
そして、彼らが真に恐れていたのが、火付盗賊改方の長官、長谷川平蔵である。
「鬼の平蔵」と渾名される彼の嗅覚はすさまじく、歴年の盗賊たちを次々へと捕えていく。ここに、鬼の平蔵と盗賊の物語が始まるのであった。
おすすめしたい人
・時代小説なるものをとりあえず読んでみたい人へ
『鬼平犯科帳』は時代小説というジャンルを代表する作品です!
なので、時代小説っていうものに特段興味はないけど、とりあえず触れてみたいって人におすすめです。
読書家の人って、好きなジャンルの作品を幾つか読んでいると、一つ普段は読まない作品でも挟んでみるかっていう時があるじゃないですか。
そういう時、「読んだことなかったけど村上春樹とかよく聞く名前だから読んでみよう」とかそんな感じになると思うんですけど、そういう軽いノリではじめて読むときは、まず間違いなくネームバリューのある作品から読むことが多いですよね。
カフカなら『変身』から読むし、カミュなら『異邦人』か『ペスト』から読むじゃないですか。アガサクリスティなら『そして誰もいなくなった』とかですかね?
となれば、時代小説というジャンルからいけば『鬼平犯科帳』ではないかと思うわけです!
とりあえずで読んでみたい時には、とりあえずは王道から。
時代小説なら『鬼平犯科帳』ってことです!!
けれど、そうじゃない。
実は、時代小説が意外と気になっているよって人は、読みやすくて面白い作品から読むことがおすすめです!
小説の魅力
・外せない人間模様
『鬼平犯科帳』はいわゆる捕物帖であることから、「火付盗賊改方」と相対する盗賊たちがメインではあります。
しかし、彼らを取り巻く人間関係もまた見逃せない内容となっているんですよね。盗みを働く理由には常に彼らのもつ人間関係が動機となっていますから。
『暗剣白梅香』とかはまさにそうで、凄腕の浪人と鬼平のバチバチの斬りあいの様相から上手いこと話が流れていくんです。時代小説をテンプレものだと思っていると、存外意表つかれると思いますよ笑
・勧善懲悪ではない
時代小説で水戸黄門のイメージを持っている人には、勧善懲悪な印象が強いと思うのですが、『鬼平犯科帳』はそんなことはなくて、人間味に溢れてだらしなく、ただそれも人間ならばこそ分かるものがあります。
軽く紹介すると、「老盗の夢」なんかは、上手いこと盗みから足を洗ったものの、ついつい若い女に惚れてもうひと働きしようと思った老盗の話です。
なんとなくいい予感はしないものですが、それでも「なんというかまあ仕方ないよね」とか「バカだけどまあ」みたいな、そういう感情が読者にもたらされます。
盗みをする側も極悪人であることは少なく、短編でありながら彼らの人間関係もしっかりと描かれるため、むしろ「火付盗賊改方」よりも「盗賊」よりの気持ちになって読んでしまう作品もあると思います。
碌な死に方はしないものの、彼等のもつ矜持だったり、人としてのだらしなさというものは自分にあるものだなって感じるのです。
まとめ
さて、『鬼平犯科帳』は時代小説を代表する作品ですが、いまや知らない人も多くいる作品だと思います。しかし、紛れもない名作ではありますから、読んでみる価値は十分にあると思います。
実際、面白いですし!
本書を読んで面白かったらドラマやアニメも見てください。鬼平渋くてかっこいいですよ!
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