心形刀 柴田錬三郎-迸る熱量-

時代小説

直木賞、芥川賞、山本周五郎賞、吉川英治文学賞、新田次郎文学賞など、学賞のビッグタイトルの存在は知っていても、彼らの作品は読んだことがない人は居るのではないでしょうか?私自身、文学賞の冠になっていても、読んだことがない小説家がいました。

それが、今回紹介する「柴田錬三郎」です。柴田錬三郎賞は知っていましたが、彼の作品は読んだことがありませんでした。それではまず、柴田錬三郎がどんな作家であるか紹介するとともに、柴田錬三郎賞についても説明していきたいと思います!

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どんな作家?

歴史小説に新風を送ったことで業績は名高い。『イエスの裔』は芥川賞と直木賞の両方の候補となったが天秤にかけて直木賞を受賞し、その後選考委員となる。代表作に『眠狂四郎』『赤い影法師』『御家人斬九郎』『水滸伝』『徳川太平記』など多くがあり、戦国・幕末を扱った作品が多く、剣客ブームを巻き起こした。

wikipediaより

時代小説・歴史小説を中心に1940-1970年代に活躍。特に、『眠狂四郎無頼控』シリーズはブームを引き起こし、幾度も映画化やテレビドラマ化されています。

続いて、柴田錬三郎賞についてです。

傑作『眠狂四郎無頼控』をはじめ、不羈の想像力を駆使した数々の作品でひろく大衆の心をうち、ロマンの新しい地平を切り拓いた故柴田錬三郎氏の業績を称えて、氏の名を冠した賞を設け、現代小説、時代小説を問わず、真に広汎な読者を魅了しうる作家と作品を顕彰します。

集英社ホームページより

柴田錬三郎賞 – Wikipedia 歴代の受賞者を見ても、超有名作家の面々が名を連ねています。直木賞・山本周五郎賞と並んで日本最高峰の文学賞といえる権威をもった賞です。

続いて、本書『心形刀』の概要を!

概要

『心形刀』は柴田錬三郎の初期から後期までの作品から短編を10編収録したものになります。以下、作品名です。

・虎徹

・烈女

・傀儡

・美しい日本の少年

・奇人

・異説おらんだ文

・名人

・幕臣一代

・復讐

・心形刀

設定される時代は短編ごとに変わり、登場人物もフィクションの場合もありますし、実在した人物であることもあります。

おすすめしたい人

・柴田錬三郎作品を読んだことのある人

今回、私は初めて柴田錬三郎作品を読みました。初期から後期まで幅広く収録されているみたいなので、これでいいかなと思ったのですが、どうやら違いました笑

10編それぞれの統一性があまりないので、正直読みづらいです。特に、1編ごとの長さだったり、実在するのかフィクションなのか、時代はいつごろかという点で上手く切り替えて読むことが出来ませんでした。

一方で、柴田錬三郎作品の代表作などを既に読まれている人ならば、上記に挙げた問題は生じないのかなと思います。既にどんな作風か体験していれば、感覚的にどんな作品か分かっているし、大きく違和感を持つようなことはないのではと思います。

ということで、まずは柴田錬三郎の代表作である『イエスの裔』や『眠狂四郎無頼控』から読んで、より幅広く著者の作品を読みたいと思った時に本書『心形刀』を読むことをおすすめします!

【柴田錬三郎初読者向け】

小説の魅力

・強烈な個性

時代も立場も異なりますが、小説のなかで登場する彼らの多くが強烈な個性をもって時代を生き抜いていきます。自分の信念のためなら手段は選びません。当然、そのことで生じる問題もありますが、そんなことは屁とも思っていません。

爆発力というのでしょうか、人間が全てを一つのことに捧げた時に生まれるエネルギーの凄さを感じることが出来ると思います。あそこまで突き抜けてしまえば、もう怖いものなど何一つないのでしょう。

自分では出来ないけれど、見ている分には個性的で面白いほうがいい、そういった読者の心を分かっているかのように著者は強烈なエネルギーをもったキャラクターを次々に登場させます。

・独特な視点

「傀儡」では小西行長を、「美しい日本の少年」では中浦ジュリアンを題材にしていますが、彼らをこんな風に描けるのはおそらく著者だけです。そう言い切れるほどに切り口もまた独特なんですよね。

強烈な個性×独特な視点

併せ持った時に生まれる小説の個性は唯一無二のものです。しかも、そこに確かな技量と読者の視点を忘れていませんから、柴田錬三郎氏の作品は時代を超えて愛される小説家なのでしょう。

まとめ

『心形刀』は柴田錬三郎氏を初読の方にはおすすめではありませんが、著者の作品を既に読んだことのある人であればおすすめです。

登場人物の強烈な個性と著者の独特な切り口が合わさった唯一無二の小説を味わってみてはいかがでしょうか?ハマる人にはとことんハマる小説であることは間違いないですよ!!

【注意】以下は中古です!!

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