ヴォイド・シェイパシリーズ第5作、完結編。
最後の仕合、最後の相手、そしてゼンが最後に選んだ道とは。
どんな小説家?
森博嗣 作家、工学博士。1957年12月7日愛知県生まれ。某国立大学工学部助教授のかたわら。1996年に『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。以後、続々と作品を発表し、人気を博している。
『ヴォイド・シェイパ』著者紹介文より
『すべてがFになる』をはじめ、数々のヒット作を持つ小説家です!
ミステリー好きにファンも多く、引退宣言をしていた今もなお多くの読者を抱えている人気ぶりです。
「ヴォイド・シェイパ」シリーズは剣豪小説なので、異色な作品といえるかもしれませんが、非常に面白かった作品です。一巻目を読んで面白いと思えば、ぜひ5巻通して読んでみてください。
概要
剣の道を究めるために旅を続けるゼン。
しかし、とある兵団に見つかりその命を狙われる。
明らかに格上の相手を前に瀕死の傷を負ったゼン。これまでの記憶を失う代わりに命だけは助かった。川に流されていたところを、とある姉弟が助けたられたようだ。
回復したゼンは、再び同じ男に勝負を挑む。
相手は国の剣術師範であり、スズカ・カシュウの後継として、その地位を譲り受けた相手だった。
最後にして、最強の相手を前にゼンは剣をふるう。
小説の魅力
・最強の相手を前にして
ここまで読んできた読者の皆さんにはお分かりの通り、ゼンは非常に理屈で考える剣豪です。粗暴さのかけらもなく、あまりにも知的です。
師であるスズカ・カシュウからは「考えてはいけない」と常々言われてきましたが、本作ではついにゼンがその境地へと達することになります。
ここまでひとつずつ剣の道を進めてきたゼンが最後にたどり着く境地、相手となるアカシ・ランサイの剣を表現する描写も美しく、二人の仕合はとても迫力があるものになっています。
・最後に選択した道
ゼンの出自はおおよそ理解されていますが、ゼンがついにその地位へと就くことになります。人が良いゼンは違和感を覚えながらも、与えられた役割を果たしていきます。
そんな中で、ノギとの再会を果たしたゼン。これまで共に旅を続けてきたノギは立派になったゼンを見て涙を流します。
このノギとの再会がラストシーンへとつながっていくのでしょう。
まとめ
『マインド・クアンチャ』は、「ヴォイド・シェイパ」シリーズの完結編となる作品で、
最強の相手との仕合、磨き上げてきた剣が達した高み、最後にゼンが選択する道が見どころです。
正直駆け足な部分もあって戸惑う読者もいるかもしれませんが、多くの読者にとって満足のいく一冊になっているかと思います。
ラストについて、読者によって見解が割れるみたいなので、自分の感想をもったうえで覗いてみると面白いかもしれません。
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