忍法帖シリーズは山田風太郎氏の代表作であるシリーズです。歴史にエンタメの要素を強く掛け合わせた先進的な小説になっています。シリーズ第1作である『甲賀忍法帖』は40年以上経った2003年に漫画雑誌で「バジリスク~甲賀忍法帖~」として連載され、2005年にはアニメ化もされました。さらには、パチンコの機種としても「バジリスクタイム」という言葉とともに有名です。
歴史×超能力×エログロの『忍法帖シリーズ』は一大ブームを起こし、後の世にも大きな影響を与えることになりました。今回紹介する『信玄忍法帖』はシリーズ第8作になっています。
自分がよく知らないばかりにシリーズ8作目からの紹介となっていますが、初読の方は人気も高く、アニメ化・実写映画化もされている『甲賀忍法帖』から読むことをおすすめします!
【漫画版】
どんな小説家?
山田 風太郎(やまだ ふうたろう、1922年1月4日 – 2001年7月28日)は、日本の小説家。本名は山田 誠也(やまだ せいや)。伝奇小説、推理小説、時代小説の3分野で名を馳せた、戦後日本を代表する娯楽小説家の一人である。東京医科大学卒業、医学士号取得。
『魔界転生』や忍法帖シリーズに代表される、奇想天外なアイデアを用いた大衆小説で知られている。『南総里見八犬伝』や『水滸伝』をはじめとした古典伝奇文学に造詣が深く、それらを咀嚼・再構成して独自の視点を加えた作品を多数執筆した。
Wikipediaより
『魔界転生』、現在のライトノベルで見受けられそうなタイトルですが、執筆時期は1965年と55年以上も昔のことです。内容は魔界転生という術によって蘇った剣豪たち「魔界衆」と相対する「柳生衆」との戦いです。50年以上前に転生、超能力バトルものをやっていたとは驚きですよね。
概要
三方ヶ原の戦いで圧倒的勝利を収めた武田軍が突如として軍の歩みを止め、兵を引いた。奇怪に映る武田軍の行軍に「信玄は死んだのか?」との噂が流れる。
事の真相を確かめるべく徳川家康は9名の伊賀忍者を放つ。これを迎え撃つ武田方は、猿飛天兵衛、霧隠地兵衛の二名の忍者と彼らを抱えている真田昌幸。そして、川中島で死したはずの山本勘助だった。「武田信玄の生死」を探る諜報戦の行方やいかに。
おすすめしたい人
・エログロがいける人
まずは、この点が受け入れられないと「読むに堪えない」なんてことになりかねません。山田風太郎の名前だけ知っていて、基礎知識なしで本作を読んだ自分は、陵辱などの性描写の多くに驚くことになりました笑
しかし、エログロ要素があるものとはじめに知っていれば、この点は防げることでしょう。なので、苦手な人はまず読まないことをおすすめします。逆に、大好きな人は是非『忍法帖シリーズ』を全部読みましょう笑
・小説は娯楽だと考える人
小説は自己啓発本やビジネス本などの書籍群と違って、第一に娯楽性が重要であることが大事だと思います。どれだけ倫理的でで品行方正な青年が主人公にいたとしても、物語がつまらなくてはそこには何の価値もありません。
その点、本作は「娯楽性」にふりきっています。山本勘助は存命ですし、忍術で時間を止めることも出来ますし、もはや時代設定や歴史上の人物などはただの背景に過ぎないといっても過言ではないでしょう。
それでも「忍法エンターテインメント」として、奇想天外な忍法や剣術などで楽しませてくれるので、「時代考証が」とか堅苦しいことを言わずに楽しめる人にこそおすすめです。
小説の魅力
・圧倒的エンタメ性
何度も同じことを言って申し訳ないのですが、本作で繰り広げられる忍法は人間の域を大きく離れています。忍者だけで、百万の足軽を一蹴できるのではないかと思わせるほどです笑
数々の忍法になすがままにされる無能力者を見て楽しむか、さらに無敵と思われる忍法が敗れ去る瞬間など楽しむかは人それぞれです。「この忍法いかすなー」とそんな見方をしながら肩の力を抜いて楽しんでください!また、大久保長安、小山田信茂などを忍法を通すことで、面白く脚色している点も歴史好きをニヤリとさせる魅力ではないでしょうか。
まとめ
『信玄忍法帖』は忍法帖シリーズ第8作で、信玄の生死を巡る諜報戦です。目まぐるしく動く戦いのなかで見せる探り合い、そして、ド派手な忍法に度肝をぬかすことでしょう。
最後に、これだけ忍法の異次元さを伝えてきたうえで、こんなことを言うのは良くないのかもしれませんが、個人的に本作一番のチートは剣豪・上泉信綱のシーンだったような気がします笑
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