『御宿かわせみ』は1974年~2006年まで32年に渡って、34冊が出版された人気シリーズです。時代小説に、恋愛と推理かけ合わさり、時代小説版名探偵コナンとも言えるかも笑。とても読みやすいのではじめて時代小説を読む人には強くおすすめしたい一冊です!
それではまず、『御宿かわせみ』の著者である平岩弓枝さんについて見ていきましょう。
どんな作家?
1959年(昭和34年)-『鏨師』で第41回直木賞
1979年(昭和54年)- 第30回NHK放送文化賞
1986年(昭和61年)- 第12回菊田一夫演劇賞大賞
1989年(平成元年)- 第9回日本文芸大賞
1990年(平成2年)-『花影の花』で第25回吉川英治文学賞
1997年(平成9年)- 紫綬褒章
1998年(平成10年)- 第46回菊池寛賞
2008年(平成20年)-『西遊記』で毎日芸術賞。
2016年(平成28年)- 文化勲章
Wikipediaより引用
生まれが1932年で、1959年に直木賞を獲得していますから、なんと27歳で直木賞を受賞していたことになります!2019年現在まで考えても史上3番目の若さですから、これは数多いる作家のなかにおいても、著者の早熟ぶりがよく分かります。
また、この他にテレビドラマの脚本家としてもかなり活躍されていますから、才能だけでなく体力、そして熱量も並大抵のものではありませんね。
おすすめしたい人
『御宿かわせみ』は連作短編集で一話が40pくらいにまとまっていて、会話文も比較的多いのが特徴です。物語としては、幼馴染との恋愛や推理要素が強いので、やはり名探偵コナンをイメージしてくれたら遠くない内容になっていると思います!
以上より、一話ごとの長さ、文章の読みやすさ、物語の内容、の三点からはじめて時代小説を読む人に強くおすすめ出来る作品といえるでしょう!
また、時代小説好きにとっても外すこの出来ない名作シリーズですから、既に時代小説は読んでいるけれどまだ読んだことがないという人にも、もちろんおすすめです。
・はじめて時代小説を読む人
あらすじ
旅籠屋「かわせみ」の主人るいは、幼馴染で恋人である吟味方与力の家の次男・神林東吾との日々を過ごす。夫婦になれればよいが、互いに簡単にはいかない事情があり...
そんな淡い生活を送るなかで「かわせみ」の周辺で起こる種々の事件。東吾は同心の源三郎と事件の真相解明に走る。のっぴきならぬ事情から起こる悲しい事件から心温まる事件まで、人情あふれる江戸物語、大人気シリーズ『御宿かわせみ』の第一作!
小説の魅力
・るいと東吾の恋物語
ここが一般的な時代小説にはあまりない要素であり、時代小説の「堅苦しい」イメージを払拭してくれる所だと思います。前述した通り、るいと東吾は幼馴染であり、恋仲でもあります。作中において、二人が愛を確かめ合うシーンはシリアスな展開にあっても、重くなりすぎないような清涼剤となっており、読者にストーリーの重さや冗長さを感じさせることがありません。
・綺麗事だけでは通らぬ町物語
読みやすい、読みやすいとこれまで言ってきましたが、物語としては、出自などある種理不尽な要素で苦しむ話も多いです。
しかし、市井の良い話だけ読ませて朗らか、朗らかとするのではなく、生きることへの厳しさや冷たさを見せてくれることにはある意味誠実さがあるように思います。差別・偏見・格差などは現在よりも厳しいものがあったことは想像に難くないですしね。
また、生きることへの厳しさ、冷たさは、一方で人の温かさに触れた時の感動をより深みのあるものにしてくれるわけですから、必ずしも悪いことばかりではありません。
同じ町にあっても、ある人は幸せを感じていて、ある人は生きることに苦しさを感じている。同じ人でも、ある時は幸せを感じていて、ある時は生きることに苦しさを感じている。
もしかしたら、『御宿かわせみ』は人間社会の当たり前のことが描かれているに過ぎないのかもしれませんが、そんな普通の話を物語としてこれだけ面白く読ませる点、やはり著者の力量は見事ということなのでしょう。
まとめ
『御宿かわせみ』は、はじめて時代小説を読む人におすすめの読みやすい(堅苦しさのない)小説です。恋愛や推理要素も合わせながらも、真っすぐに生きることが簡単ではないということも教えてくれるような小説は、きっとこれからも多くの読者の心に刺さる小説になるのでしょう。是非、『御宿かわせみ』を機に時代小説の扉を開けてくれることを願っています!!それでは。
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