賞の冠として名前は知っているけど読んだことはないシリーズです!
前回は柴田錬三郎氏、その前が新田次郎氏でした。『孤高の人』はものすごく面白かったですね。柴田錬三郎作品では、眠狂四郎を次に読もうと思っています!!
さて、今回は大佛次郎氏ですが、まずは彼の名前を知るきっかけとなった大佛次郎賞を紹介していきたいと思います!
大佛次郎賞(おさらぎじろうしょう)は朝日新聞社主催の文学賞である。『鞍馬天狗』、『赤穂浪士』、『パリ燃ゆ』、『天皇の世紀』などの小説・ノンフィクション・歴史書で知られる大佛次郎の幅広い業績を記念し、没年の1973年に「作品集」を出していた朝日新聞社が創設。
Wikipediaより
とある通り、受賞作は小説であったり、ノンフィクション作品だったりします。小説家でいえば、陳舜臣、吉村昭、司馬遼太郎などの著名な小説家などが受賞する一方、新書などの作品も多く受賞しています。
それでは、小説からノンフィクション作品まで数多くの作品を手掛けた大佛次郎氏を見ていきましょう!
どんな小説家?
大佛次郎 1897年生まれ、神奈川県出身、本名は野尻 清彦。『鞍馬天狗』シリーズなど大衆文学の作者として有名な他、歴史小説、現代小説、ノンフィクション、新作歌舞伎や童話などまでを幅広く手がけた。英文学者の野尻抱影(正英)は兄。
Wikipediaより
野尻家は名家で、二人の兄も大学を卒業しており、彼自身も東京帝国大学法学部政治学科(東京大学)を卒業しています。幅広い作品を書ける土壌として、高等な教育を受けて、十分な学力を持っていたことがよくわかりますね。
代表作は『鞍馬天狗』(1924-1965)『赤穂浪士』(1929)、ノンフィクション作品としては、『パリ燃ゆ』(1964)『天皇の世紀』(1969)などがあります。
時代小説を多く書き、『鞍馬天狗』シリーズは映画化、『赤穂浪士』はNHKで大河ドラマ化されています。彼と同時期の生まれだと、横光利一(1898)、井伏鱒二(1898)、川端康成(1899)などがいます。まさに、文豪の時代といったところでしょうか。
ちなみに、海外だと、ノーベル文学賞、全米図書賞を獲得しているウィリアム・フォークナーが1897年で同じ年の生まれですね。
概要
幕末、勤皇の徒である鞍馬天狗は、佐幕派の志士たちと戦っていた。
新選組の拠点に一人で斬りこむなど、縦横無尽の活躍を見せていたが、彼がついに捕らえられてしまう。
親方から虐待を受けていたところを助けられた杉作は、子供ながらに彼を助けようと奮闘していく。
正義のヒーローと純心な子供が奇跡を起こす⁉鞍馬天狗シリーズ屈指の人気作品!
おすすめしたい人
・大佛次郎初読みの方へ
『角兵衛獅子』は著者の代表作シリーズの中の代表作です。やはり、初読みの作家はその人の代表作から読んでいくことが一般的ではないでしょうか。
自分も今回初読み作家でしたが、その選択で間違いはなかったです!
1927年に書かれた作品とは思えないほどに、分かりやすくて面白い作品で、勧善懲悪に近い物語は定型的でありながらも、最後まで読ませる展開があります。
大佛次郎初読みの方にはまず『角兵衛獅子』から読んでみてはいかがでしょうか。
・10歳~13歳の男子へ
『角兵衛獅子』は少年向けの作品として書かれていますので、10~13歳くらいの少年たちにもおすすめです。
しかし、一つ問題なのはこの作品が1927年に書かれたということでしょうか。言葉遣いから今とはちょっと違いますし、所々に違和感を覚えることがあるかもしれません。
それでも、自分は『角兵衛獅子』はおすすめできると思います。というのも、この年代で小説読んでいる人は大抵賢い人、勉強ができる人だと思うからです笑
だから、多少わからない点があっても、新しく知識を得られるきっかけにしたり、上手いこと読み飛ばすことも出来るんじゃないかなと思うのです。
もちろん、多少のつまずきを気にしないほど物語として面白いですけどね!
小説の魅力
・ヒーローはかっこいい
鞍馬天狗は普段はその正体を身近な人にしか明かすことなく暮らし、神出鬼没にして数多の剣客を斬り伏せていきます。一方で、彼の人柄は子供には優しく、彼らを虐げるような人々には断固とした態度で懲らしめます。
完全無欠のヒーローはかっこいいですよ、理屈じゃないしそこはリアルでなくて構わないのです!
・敵役もかっこいい
一方で、物語終盤では、近藤勇が裏の主人公といってもいいほどに活躍します。
剣の強さはさることながら、風格、立ち振る舞いなど敵でありながらも尊敬せずには居られない魅力があります。
一本筋を通した彼の生き方は、鞍馬天狗に劣らないほどの魅力を持ち合わせています。
この二人がラストシーンで、剣を向けあう場面には痺れるものがありますよ!!
まとめ
『角兵衛獅子』は鞍馬天狗シリーズを代表する人気作です。ヒーローとしての魅力もさることながら、杉作少年の健気な姿にもまた心を打つものがあります。
教科書で教えられるレベルである、井伏鱒二、川端康成、横光利一ほどには知られていないかもしれませんが、大佛次郎もまた歴史に名前を残した小説家の一人です。
ぜひこれをきっかけに彼の作品を読んでみてください!それでは!!
【この小説が好きだった人へおすすめの作品】
コメント