驚いたのは一ページ目、いきなりの展開にしばらく事態がのみ込めませんでした。
まさかまさかではありましたが、一巻通してみればかねてからの目標を一つ達成し、五鈴屋はまた一つ前へと進むことが出来たといえるでしょう。
どんな小説家?
高田郁 兵庫県宝塚市生まれ。中央大学法学部卒。1993年、集英社レディスコミック誌『YOU』にて漫画原作者としてデビュー。2008年、小説家としてデビューする。著書に「みをつくし料理帖」シリーズ、『出世花』などがある。
あきない世傳(一) 著者紹介文より
大ヒットシリーズ「みをつくし料理帖」の作者として有名です!
概要
江戸への出店に確実に近づいていた五鈴屋。しかし、思わぬ不幸が五鈴屋を襲う。
それでも、五鈴屋は幸を筆頭に全ての奉公人とともに未来を切り開いていく。
そして、商いの本流へとたどり着いた五鈴屋。赤穂浪士討ち入りの日にあわせて五鈴屋の討ち入りが始まる。
小説の魅力
・お竹の活躍
女衆から御寮さんになった幸だからこそ、お竹との信頼関係があるのでしょう。女衆というだけで諦めて欲しくない、という幸の思いと応えるだけの才覚をお竹。
思い返せば五鈴屋がはじめて帯地を扱う際など、お竹は度々幸の力になっていました。そして、幸の右腕として生きることを決意し、遂には小頭という立場で奉公人を束ねるようになります。
能力があるにもかかわらず、かねてからの慣習により表舞台に立てなかったお竹がこれから幸の右腕として活躍していくことになるのはとても嬉しいことですよね。
「寿命が尽きるまで五鈴屋、いえご寮さんのお役に立たせてもらう」といったシーンは一番素敵なシーンでした。
・応援される魅力
五鈴屋と幸には人から応援されるだけの魅力がありますよね。
店主と奉公人が一つの方を向いて一丸と力をあわせる姿や、「売っての幸せ、買うての幸い」という言葉を全員が真剣に考えて知恵を絞りだそうとする所など。
擦り切れてないまっすぐな気持ち、というのはやはり応援したくなります。
数巻前までは幸の知恵が五鈴屋を動かしている印象を受けたのですが、本巻では幸だけでなく、奉公人たちの知恵でお店を動かしているように思えました。
幸という敏腕な経営者が全てを動かす姿から、五鈴屋すべての奉公人でお店を動かすようになってきたのはとても頼もしいことですね。
まとめ
度重なるの試練を乗り越えて、遂に江戸までたどり着いた五鈴屋。商いの本流でこれからどのように「売っての幸せ、買うての幸い」を体現してくれるのか非常に楽しみです!
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